『宇治抹茶スイーツ』についての想い

 

茶游堂当主 林屋和成です。

 

以前のブログ『煎茶と抹茶の歴史と今を時代と共に語る』で最後にも抹茶スイーツへの想いなどを書きましたが、今回はさらに詳しく、抹茶スイーツという商品について、また本当の抹茶スイーツとはどういうものなのか…という事を書きたいと思います。

 

まず初めに、今では様々な抹茶を使ったスイーツが販売されております。宇治のお土産店はもちろん、京都駅など市内のお土産店にも抹茶スイーツはたくさん販売されております。しかし、本当に抹茶の味がする抹茶スイーツはいくつあるでしょうか。

抹茶と言っても色々な種類があります。
現在は、抹茶と言うお茶に対して材料等の規制は無く、粉末状になって居れば抹茶と言える状態で、下級煎茶等でも粉砕機で粉砕したパウダー状のお茶も抹茶と言うジャンルに入れているのが実情です。また煎茶の茶葉を蒸して揉まずに碾茶炉で乾燥した様な下級品「碾茶」の様な物まで出回って居るようです。

他にも、抹茶を今より濃厚にするために抹茶やお茶のパウダーの量を増やして苦い味の物が良いと間違った配合をしているお菓子屋さん、お茶屋さんが増えて来ました。それでなくてもファミリー層には受けが悪い…、抹茶スイーツが苦くて子供が嫌がる…等の意見を多く聞く様になったり、似非抹茶を使用したお菓子が増え、そんな抹茶スイーツを食べても美味しい分けがありません。消費者も本物と似非物の区別がつかないので、最近では「抹茶スイーツか?当たり外れあるしなー…」と言われる始末になり、私は抹茶スイーツに危機を感じています。

私は、抹茶スイーツは100%碾茶が原料として石臼か粉砕機で加工した、ほんまもんの抹茶を使用したお菓子だけが抹茶スイーツと言える意味があり、お茶のパウダーや粉末緑茶を使用して作られたお菓子は、「宇治茶パウダー使用」とか「宇治粉末緑茶使用」と言うふうにしてしっかり差別化をする必要があると思います。

 

インターネットでも最近、石臼で挽いたお茶が抹茶になるのに大変時間が掛かる物である事は良く知られているが少し説明すると上質抹茶は1臼1時間当たり35gと貴重な物です。実働8時間として280g~300g、下級抹茶でも1臼1時間当たり70g程度です。
私は、昔も今も普通ではまずお菓子の材料として使用しないランクのお抹茶を使用して、お菓子をお茶屋の感覚で作り上げています。

 

茶游堂では、宇治石臼挽き抹茶を使用している製品と粉砕機でパウダーした宇治抹茶を使用するお菓子をしっかり区別しております。宇治石臼挽き抹茶使用と書き粉砕機でパウダーにした抹茶を使用しているお菓子には宇治抹茶使用と言うふうに区別しています。また、宇治で抹茶スイーツを販売しているから宇治抹茶スイーツではなく、宇治抹茶を使用した抹茶スイーツを販売しているので『宇治抹茶スイーツ』と言わさせていただいております。

抹茶をお菓子に使用する時の私の決まり

①抹茶を入れ過ぎると抹茶のお菓子の色が黒くなり新鮮度が低下する。

②各お菓子によって使用する抹茶が違うのが当たり前。

③抹茶をいくら沢山使用しても良い香りを作り得ない。

④各お菓子に使用する抹茶の量にも黄金比がある。

⑤抹茶の使用量を増やしただけでインパクが強くなる、抹茶味が強くなるとは限らない。

⑥温度に非常に敏感な食材抹茶であるが使い方でどうにでもなる。

あとは企業秘密なので開示できませんが、抹茶を使用してお菓子作りをされて居る方々はほんまもんの抹茶を使用しないと①~⑥の事は理解できないと思います。
私が書いた⑥項目以外で悩んでおられる方はご連絡ください。
現在抹茶を使用した和洋菓子が日本中にあふれています。製造販売者は売れると分かれば、物凄いパワーで企画力等を全面に出し販売に力を入れてきます。小さなお茶屋から大手菓子メーカーまで参入する一大産業となりました。

私が1989年に宇治抹茶の美味しさを、作り手が美味しいと思う状態で提供出来ないかと考え、30年以上になります。
和洋菓子屋目線では無く、お茶屋目線でお菓子の味を吟味して世に出すという、今までに無い形を作り上げBtoCを中心に「お茶か主役」を旗印に取り組んで参りました。

最後に…私が作り出す宇治抹茶スイーツに使用する抹茶は、覆い下茶園で栽培された茶葉を蒸しても揉まずに碾茶炉(てんちゃろ)と言う機械で乾燥させた碾茶(てんちゃ)を石臼又は粉砕機で粉砕したバウダー状のお茶を抹茶として使用しています。
茶游堂の宇治抹茶スイーツは1989年当時とコンセプトは一切変わっていません。
ロールケーキ、シュークリーム、チーズケーキ、バームクーヘン、プリンなど、皆様が一度でも抹茶の味以外で召し上がられたことのあるポヒュラーなお菓子を抹茶スイーツに変えてお届けしております。

 

濃茶ロールケーキ

宇治ぷりん【抹茶・ほうじ茶】

抹茶バームクーヘン

各お菓子の特徴や良い部分はしっかりと残しながら、抹茶が主役のお菓子に作り替えました。

食べたら分かるほんまもんの抹茶味。

是非ともこの機会に一度ご賞味くだいませ。

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